『青山記〜人間至る所青山あり〜』 総合診療医 東 光久医師の生き方エッセイ
第2回 これからの人生の話をしよう〜アドバンス・ケア・プランニング〜
白河市民の皆さん、こんにちは。
11月30日のいい看取りの日に開催された【市民講演会2022】では100名を超える方に参加していただきありがとうございました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
さて、今日はそこで講演した内容をもとに思考を深めていきましょう。講演会では、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)のお話を私のライフワークである患者力の視点でお話ししました。
ACPとは、人生の最終段階において今後の治療・療養について患者・家族と医療従事者があらかじめ話し合う自発的な過程とされています。つまり、人生のゴールをどこに設定し、どのようにしてテープを切るのかということを一人ひとりが考え、伝え、話し合うことです。
人生のゴールを考えるということは、人生をどのように生き切るのかということと同じです。誰だって病気にはなりたくないし、誰だってかかった病気は治したい、治す事が難しくても少しでも良くしたい、良くならなくてもこれ以上悪くならないようにしたい。
しかし、それはなぜでしょうか?
病気にかかってはダメなんでしょうか、良くならない・治らないとしたら、その人生は意味のない価値のないものなのでしょうか。
決してそんなことはないはずです。病気になっても、病気がよくならなくても、あなたの人生は続き、そしていつか死というゴールを迎えます。その時、病気さえもあなたが生きてきた証となることでしょう。
ドラマやアニメでは主人公は必ず困難に直面して一度は屈します。しかし、必ずそれを乗り越え大きな成果を出します。そこに感動や共感が生まれ、人気が出るのです。人生も、病気に限らず、艱難辛苦(かんなんしんく)の連続です。
神は乗り越えられる試練しか与えない(新約聖書)
ACPは、誰しもが人生の山や谷をみんなで乗り越えようとする営みの一つと捉えられるかもしれません。
この年の瀬に自分の人生を振り返り、きたる新年に何を誓うか
それでは次回また。ごきげんよう。
奈良県総合医療センター総合診療科
東 光久
第1回
白河市民の皆さん、こんにちは。
今春まで、白河厚生総合病院(以下、厚生病院)に勤務していた東 光久(あずま てるひさ)と申します。早いもので半年以上が経過しましたが、私は現在自宅のある、奈良市内の奈良県総合医療センターで総合診療科医師として在籍し、研修医教育や仕組み作りを中心に活動しています。
さて、この度、鈴木和夫白河市長のご理解のもと、白河市ホームページを利用して、市民向けにエッセイの連載を開始することになりました。この場をお借りして感謝申し上げます。
ご存知の方も多いかもしれませんが、私は厚生病院在職中にJA夢みなみ広報誌の厚生病院だよりとして、毎月エッセイを連載していました(2015年8月から2022年4月まで)。そこでは、私の医療に対する考え方(第1章:主治医になるための10の掟)や、市民の方に知ってもらいたいこと(第2章:賢い患者・受診者になろう)、などを思いつくままに綴ってきました。そして、2019年1月分までの掲載分が1冊の本(下記)になっています。以降は、【現代版徒然草】として、新型コロナウイルス感染症に関するトピックを掲載して参りました。最終号に、『皆さんとつながり発信し続ける方法を探す』と宣言し、今回その場を得たので再開することになりました。
再開とは言っても、全く同じタイトルでは面白くないですし、自分の今の心境を表す言葉を用いて【青山記】としました。皆さんは『人間至る所青山あり』という古事成語をご存知でしょうか。これは、骨を埋める場所(青山)はどこにでもある、故郷にこだわらず、広い世間に出て活動すべきである、という意味です。奈良から白河に単身赴任した7年前の自分がまさにその気持ちであり、充実した白河での時間に感謝しつつ、挑戦し続ける気持ちをさらに高めるためにこのタイトルにしました。
青山記は毎月連載して参りますし、11月30日には3回目となる白河市民講演会(詳細は下記)で白河に参ります。皆さんとのご縁を深められることを楽しみにしております。
・関連図書 『医療はあなたと医師でつむぐもの~賢い患者になるためのエッセンス~』 東 光久著
奈良県総合医療センター総合診療科
東 光久
問い合わせ先
このページに関するお問い合わせは健康増進課です。
中央保健センター内 〒961-0054 福島県白河市北中川原313(中央保健センター内)
電話番号:0248-27-2112 ファックス番号:0248-24-5525
メールでのお問い合わせはこちら- 2022年12月26日
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