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銅造十一面観音懸仏【どうぞうじゅういちめんかんのんかけぼとけ】

銅造十一面観音懸仏

指定種別 市指定 重要文化財(工芸品)
指定年月日 平成6年3月7日
所在地 白河市郭内(小峰城歴史館保管)
所有者 龍蔵寺
大きさ 鏡板径104.3cm、像高37.8cm

懸仏は、鏡面に仏・菩薩・明王・神像などの像を表したもので、古くは御正体(みしょうたい)と呼び、平安時代から江戸時代にいたるまで盛んに制作され、神社や寺に奉納された。

本懸仏は、鏡板周縁にはやや幅広の笠鋲を打った覆輪(ふくりん)をつけ、その内面に圏線をめぐらし内外区を分ける。外区には三鈷杵(さんこしょ)と花形飾を交互に配すが、多くは脱落する。内区中央に、光背付十一面観音を取付ける。高肉彫りで、両手先は差込式とし、左手に水瓶、右手に錫杖を持つ造形になっている(水瓶、錫杖は欠失)。その上部に天蓋をつけ、台座は蓮弁形で下方に打出された波形に浮かぶように作られる。鐶座(かんざ)は獅噛(しがみ)で、宝珠形の鐶台をつける。

鏡板は、薄銅板を何枚も貼りあわせて鏡面を作り、裏面より厚い木製円板で補強する。鐶座及び鐶台は、それぞれ銅造一鋳で釘付けする。像は銅造一鋳で両肘より先を各別鋳とし、それぞれ肘で矧ぐ。光背は銅製透彫。蓮台は木製で薄銅板製の蓮弁を釘付けする。岩座は、木製一材で彫出する。

本懸仏は、県内で最も大きく、作もすぐれ、その手法から南北朝時代の作と推定される。また県指定重要文化財の棚倉町八槻都々古別(やつきつつこわけ)神社の懸仏と形状・大きさとも非常に近似しており、両者は同時に作られたものと考えられる。

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