平成18年議員提出議案の内容(12月)
議員提出議案 ~平成18年12月定例会
森林・林業・木材関連産業政策と国有林野事業の健全化を求める意見書
今日の森林・林業や木材関連産業は、国産材の価格低迷が長期に続く中で、林業の採算性が悪化し、そのことが森林所有者の林業に対する意欲を失わせ、適切な森林の育成・整備が停滞し、森林の持つ多面的機能が低下している実情にある。
また、自然環境や生活環境に対する国民の期待と要請は年々増加しているが、地球温暖化防止における二酸化炭素吸収源としての役割はもとより、近年、自然災害が多発する中、安全・安心の確保を図る森林の役割についても、果たすことができなくなることが強く危ぶまれている。
加えてこの間、我が国の森林行政の中核を担い、民有林行政との連携を果たしてきた国有林野事業は、一般会計化・独立行政法人化が検討されるなど、国民の共有の財産である国有林の管理への影響も深刻なものとなっている。
こうした中、9月に森林・林業基本計画が閣議決定され、森林整備や地域材利用計画の推進、林業労働力の確保等の対策を進めていくこととされた。
したがって、森林・林業基本計画の確実な実行や、地球温暖化防止森林吸収源10カ年対策の着実な推進、そして、多面的機能維持を図るための森林整備等を推進するためには、必要とする施策の実行と、これに要する平成19年度予算の確保が不可欠である。
よって、国においては、森林・林業・木材関連産業施策の推進と国有林野事業の健全化に向け、下記事項について必要な対策を講ずるよう強く要望する。
記
1.森林・林業基本計画に基づく森林の整備・保全、地域材利用対策の推進と、木材の生産・加工・流通体制の整備、林業労働力の確保に向け、諸施策の確立と平成19年度予算の確保等必要な措置を講じること。
2.地球温暖化問題を初めとする地球規模での環境保全への対策や、持続可能な森林経営を目指した違法伐採対策の推進を図ること。
3.国有林野については、安全・安心な国土基盤の形成と、地域振興に資する管理体制の確保を図り、国民の共有財産である国有林の持続可能な森林管理と、技術者の育成確保を国が責任を持って図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成18年12月22日
衆議院議長・参議院議長・内閣総理大臣・農林水産大臣・経済産業大臣・環境大臣・林野庁長官 あて
白河市議会議長 大高 正人
平成18年12月22日 原案可決
耐震構造計算書偽装問題の被害者救済に関する意見書
今般の構造計算偽造問題で、夢を持って生きていくためのついの住みかと思って長期ローンを組んで買った善意の住民が地獄に突き落とされ、また近隣の周辺住民もいつ倒壊するかわからないという恐怖と不安にさいなまれるようになった。地震大国と言われている日本において、震度5強程度の地震はいつ起きても不思議ではなく、当該建物住民のみでなく、その周辺住民の生命をも脅かす極めて悪質な行為が国の監督の下で行われる建築物の設計・施工・検査の場で起きたことについて、極めて深刻に受け止めなければならない。
耐震偽装マンションの住民は、使用禁止命令が出され、半ば強制的に住居を失った。国は、昨年12月に「構造計算書問題への当面の対応」をまとめ、偽装によって強度が基準の50%以下しかない分譲マンションについて、既存制度を利用し、建て替え費用の一部を支援するとしている。しかし、国の支援策に基づいて自治体が作成した建て替え案に居住者が合意したマンションは一つもない。既存の住宅ローンに加え、新たに2000万円を超える巨額の追加負担が求められることから、過度の不安を抱えた状態に置かれている。
よって、国におかれては、耐震構造偽装問題による被害を被っている居住者にこれ以上の負担がかからないようにするとともに、欠陥住宅の再発を許さないという立場から、国民が安心して生活できる住居を確保することができるよう、次の措置を講じられたく強く要望する。
1.耐震偽装の被害者の救済に国を挙げて全力で取り組むこと。
2.偽装建築物の円滑な建て替えや補強を実行できるよう、「構造計算書問題への当面の対応」の抜本的な見直しを含め、被害者救済策の充実に向けた特別の法的措置を講じること。
3.欠陥のある建物を抵当にとって融資を行うなど、担保価値を見誤まった銀行も責任の一端を負担すべきであること。重荷となっている二重ローン問題に対処し、被害者の生活再建に向け、既往ローン債務軽減のための銀行との交渉、補償責任がある販売主や関係した企業からの資金回収、無利子基金の設立などについて国の責任で対応すること。
4.今後、売主に重大な過失があるときの債務が住民から売主へ移転されるようにするとともに、審査能力を持つ金融機関も建築物の安全・性能に一定の責任を有するように検討すること。
5.マンションなどに欠陥が見つかった場合、補修費用などを建設業界が負担するよう、住宅保障保険制度の創設を検討すること。
6.被災者生活支援制度の充実を図るとともに、国や自治体が問題業者の代わりに補償を立て替えるような犯罪被害者救済代行制度を検討すること。
7.耐震偽装のホテルや賃貸マンションに対する支援策も検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成18年12月22日
衆議院議長・参議院議長・内閣総理大臣・国土交通大臣 あて
白河市議会議長 大高 正人
平成18年12月22日 原案可決
障害者自立支援法の抜本的な改正を求める意見書
本年10月から障害者自立支援法が本格的に施行された。障害者施設や居宅支援の利用に係る応益負担(定率1割)の導入は、障害者の生活を直撃し、施設からの退所、作業所への通所やホームヘルプサービス利用の制限などの形で、生活水準の低下を引き起こしている。また、事業者側も、報酬単価の引き下げや日払い化によって、事業運営の継続が困難な状況に追い込まれている。
障害者の生活実態を重く見た地方自治体は、応益負担・自立支援医療費について独自の負担軽減を行っている。施行直後から、多くの自治体が軽減策を講じなければならない事態は、そもそも法の制度設計に無理があったと言わざるを得ない。
4月からの応益負担に加え、10月からは、新サービス体系への移行、新たな障害程度区分に基づく支給決定などが始まり、障害者、家族、事業所への影響は、さらに深刻さを増している。
本年8月、国連特別委員会では、「障害者の権利条約」案の合意がなされ、年内に国連総会で条約が採択される予定となった。
よって、政府におかれては、世界の潮流に鑑み、真に障害者に対する差別を撤廃し、障害者の自立と社会参加を求める立場から、障害者自立支援法について次の措置を講じられるよう強く要望する。
1.障害者自立支援法施行による障害当事者、家族、事業者、地方自治体への影響調査を早急に行い、真にノーマライゼーションの理念に則して同法の見直しを根本から行うこと。
2.応益(定率)負担制度を抜本的に見直すこと。特に、授産施設など就労支援施設に係る利用料負担については、応益負担の撤回を含めて見直すこと。10月から導入された障害乳幼児の療育に関する応益負担については、子供の福祉を最優先する視点から凍結し、現行の公的責任による施策を継続すること。
3.自立支援医療の実施により、公費負担を受けられる対象が大幅に制限され、患者・家族の負担が急増している。障害者・障害児が安心して医療を受けられるよう、同法から自立支援医療を切り離し、従来の精神通院医療、育成医療、更生医療に戻すこと。
4.障害者程度区分の認定については、知的障害や精神障害の判定が、実際の障害程度より軽くなるなど、生活の実態を反映することが非常に難しい。介護保険制度に準じた判定基準を当てはめるのではなく、障害当事者の個々の生活ニーズに基づく支給決定の仕組みに作りかえること。
5.地域生活支援事業(相談支援、移動支援など)は、国の裁量的経費であり補助金によって事業内容が制限される。自治体の積極的な取り組みが可能となるよう地域生活支援事業の予算を大幅に増額すること。また、移動支援は国の義務的経費とし、障害者の社会参加を保障すること。
6.自治体間の格差を是正し、障害者の地域生活の充実を図るために、地域生活基盤の緊急整備を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成18年12月22日
内閣総理大臣・厚生労働大臣 あて
白河市議会議長 大高 正人
平成18年12月22日 原案可決
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